いないいないばあ

息子が

いないいないばあを覚えた。

最初は僕がやっていたけれど

今は息子のほうから仕掛けてくるようになった

布団のあいだに小さく潜り

息を潜めて

まるで世界の裏側に隠れるみたいにして

そして満を持しての——

「ばあ」

息子が笑う

僕も笑う

いないいないばあに秘められた魔法

それは「モノの永続性」という

たしかな認知の芽生えだ

見えなくなっても

ものは消えない

ただ隠れているだけで

そこに在り続ける

そんな“世界のしくみ”を知ることで

いないいないばあは成立する

息子は今日も

布団の向こう側で

小さな成長を仕掛けてくる

その向こうに隠れている世界を期待して

溢れるほどの愛嬌を込めながら——

「ばあ」

息子が笑う

僕もまた笑う

この一瞬は永続しない

だからこそ胸に焼きつけるしかない

そんな日々