今日
春一番が吹いた。
逃げるように過ぎていく二月を見送りながら
春の風がそっと頬を撫でていく。
街ゆく人々も
近づく季節を感じてか
どこか軽やかな装いだ。
そんな彼らを横目に
僕は相変わらずダウンを着込んでいる。
冬の最後まで脱げない──
どうもそういう人間のようだ
冬は嫌いじゃない
というより
畑を始めてからは
なおさら好きになった気がする。
寒さは野菜を甘くし
降る雨は野の生命を育てる
かつては自然の営みをどこか鬱陶しく思う日もあった
人間の時間だけで生きていた頃の話だ
紆余曲折の日々を経て
いまこうして畑に向き合っている
そこで芽吹く野菜たちは
冬が冬らしくあることの意味を
少しずつ教えてくれている。
二月最後の日の朝
朝露に光る大根を名残惜しく掘り起こした
その静かな白さのなかに
冬の終わりを知ったのだ
