手のひら

小さな小さな命

我が家にやってきて

もうすぐ二年になる

自分の時間は

その小さな手のひらに

すっかり奪われてしまったけれど

不思議と惜しいとは思わない

あれだけ入り浸っていた

カフェも

本屋も

静かに遠ざかっていった

そのかわり

この小さな呼吸が

毎日を満たしてくれる

泣いて

笑って

困らせて

眠れなくて

それでもこの胸に宿る温もりは

かけがえのない宝物

夜明け前に泣きわめく我が子を抱きながら

ああ

自分もきっと

こうして誰かに守られながら

育ててもらったのだと

ようやく気づくのだった

父親になるというのは

多分

こういうことなのかもしれない

まだよくわからないけれども