畑を始めてから
土の中が僕の冷蔵庫になった
土に触れるたび
そこにはまだ息づいてるものがあると知る
その生命も
ひとたび土から出て
スーパーに並べば
少しずつ緩やかにその力を失っていく
けれど
根を張ったままのそれらは
まだそこに在り続けている
人間にも青春があるように
野菜にも収穫の頃合いはある
ほんの数日で
姿を変えてしまうものもあれば
大根のように
しばらくそのままで
待っていてくれるものもある
三人で暮らしていると
一本の大根は
だいたい一週間でなくなる
畑には
まだいくつも残っている
欲しいときに土へ向かい
太ったそれらを引き抜く
それだけのことが
最高の贅沢だと知る
冬の贅沢を毎週味わうだけ味わって
それでも余る大根を
今度はたくあんにしようと思う
本当なら
冬の空に預けて乾かすのだろうけれど
この街の空は気まぐれだから
部屋の中に吊るすことにした
麻紐で結ばれた大根が
静かに並ぶ
土の中から
空気の中へ
その時間の移ろいを
しばらく眺めていようと思う
