テレビをほとんど見なくなった
家族みんなでテレビを見ていたのは遠い昔のよう
それでも何事もなくやっていける
あれだけバラエティや
ドラマを見ていた日々は何だったのか
しかし
そんな中で唯一今でも
録画して見ている番組がある
「ザ・ノンフィクション」 フジテレビ
生きづらさを抱える人々
いわゆるマイノリティにスポットライトを当てているドキュメンタリー番組
かってパティシエを辞め
無職の最底辺生活を
地べたを這うようにして生きていた
あの頃自分と重なって
今でも胸の中のざわつきになんとも言えない気持ちにさせられる番組である
そこに映し出されるあらゆる人たちの生き様を見ていると
「ありえたかもしれないもう1人の自分」
を想像せざるをえない
それも
本当に生々しく
心が苦しくなるくらいに
そして最後のエンディングで流れるテーマソング
「サンサーラ」
これはインド サンスクリット語で
「輪廻転生」
を意味する
まさにこの歌詞が
ヘルマンヘッセ「シッダルタ」の
世界そのものだと感じる読書体験だった
主人公シッダルタは親友ゴヴィンダへ言う
「この石は一つの石だ。
そしてそれは一定の時間が経てば、おそらく土になるだろう。
そしてそこからは植物が生ずるだろう。
もしくは動物、または人間が」
つまりこの石は動物でもあり
植物でもあり
土でもあり
雨でもあり
自分でもあると
そうシッダルタはいう
しかし
それをそう思わせないもの
すなわち「我」と「汝」を隔ててしまうもの
それは「時間」なのだと
時間という概念
それがあることで
万物の輪廻転生は
見えづらくなってしまう
しかし
時というものは実際には存在せず
そこにあるのは川の流れのみであり
それは時を越え
一つを全体にし
また全体は一つなるのだと
恥ずかしながら仏教というもの対して
僕は断片的な理解しかなかった
つまみ食いする程度
しかし自分の好きな番組のテーマソング
そしてヘッセの本作によって
その内部へ迫ることができた
そしてヘッセは綴る
仏教は単なる思索の旅だけではなく
日々の生活としてそれを実践しなければならないと
自らが一であり
また全体であり
目の前の対象が
かつての自分である
そう思えれば
もう少しこの世界に優しさが増えるかもしれない
